3rd ART Collaboration
Masaya Nakayama
穏やかな物腰とやさしい表情が印象的なMasaya Nakayamaさんは、現代社会に対する強い眼差しを持つアーティストです。気分をハッピーにさせるスマイルマークは、一見可愛らしいアイコンとして見る人を惹きつけるけれど、その裏に潜んだ想いや手法には奥深い信念が隠されています。コラボレーションしたアートワークを中心に、その想いを語ってもらいました。
スペシャルインタビュー:Masaya Nakayama(Contemporary Artist)
ニューヨークはブルックリンを拠点に活動するMasaya Nakayamaさんは、穏やかな人柄とは裏腹にアイロニーの詰まった作品を発表し続けるコンテンポラリーアーティストです。ビジュアル撮影で訪れた彼の地で、ふとした繋がりと出会いからこのコラボレーションは生まれました。ニューノーマルな環境下での取り組みは、時代の気分を反映させたアートコラボレーションとなりました。
Have a nice day (2019)
- Q ――ご無沙汰しています。今回のコラボレーションではお世話になりました。お忙しい中、アートワークを仕上げていただいて本当にありがとうございました。マサヤさんのことを皆さんに紹介したいのですが、ニューヨークでアート活動をはじめてどれくらいですか?
- A「ぼくは2012年に渡米したので8年弱、ニューヨークはブルックリンで活動しています。」
- Q ――それ以前は日本でアーティスト活動をされていたのですか?
- A「実は渡米前は大阪の公立中学校で美術教員をしていました。最後の年に3年生の担任をさせてもらう機会があって、生徒の進路を共に考えていく中で自分の人生を見つめ直すタイミングをもらいました。少し遅い挑戦にはなりましたが、今までにない喜びと不安で興奮していた当時の自分をよく覚えています。」
- Q ――中学校の美術教師からの転身ですか! それは相当の想いがあってのことですね。
- A「最近友人に『どうしてここまで絵を描き続けてこれたの?』という質問をされた時に、瞬間的に出た答えが『自分には絵しか描けないから』で、妙に自分自身納得しました。あと、生徒には夢を持つ事の大切さを問う立場にありながら、自分自身の持つ可能性を見て見ぬふりしていた事に気付きました。自分自身が実践することが、その言葉に責任を持つ事のように思えました。」
- Q ――わたしは昨年の冬、ニューヨークでブランドビジュアルを撮影した時に現地の人を介してアトリエに伺い、グロセリーストアでよく使われているプラスチックバッグをモチーフにスマイルマークが描かれたペイント(Have a nice day (2019))を見て、とても素敵なアートだと思いました。コンセプトやメッセージはもちろんですが、色使いやスマイルマークなど、パワーをもらえる作品だと感じました。
- A「それはありがとうございます。作品を直接見てもらってそういう感想を持ってもらえたこと、作品のコンセプトやぼくが大事にしている考えにも共感してもらえて、とても嬉しかったです。」
- Q――今回のコラボレーションでもスマイルマークの要望をさせてもらいましたが、逆さまのスマイルにマサヤさんらしさがあるなって思いました。順番にテーマやコンセプトなどを聞かせてもらえますか。
Untitled (2020)
- A「そうですよね、当初のコラボレーション商品はプラスチックバッグとスマイルマークをモチーフにしたシリーズでした。」
- Q ――これは環境問題がテーマですよね?!
- A「そうです。今やプラスチックゴミの代表格ともいえるプラスチックバッグが、笑顔で”Thank you”や”Have a nice day”と言ってくるあたりに皮肉を感じていました。ちょうどプラスチックバッグ廃止の流れも急に進み始めていた時期だったので、そんな経緯から当初その作品で進めていましたが、その後に新型コロナウイルスやBLM運動が起こって…。お互いに”いま自分達が世の中に発信すべきものは何か”という話をしていく中で生まれたのが逆さまになったスマイル(Untitled (2020)、Do The Right Thing no.1 (2020)、Do The Right Thing no.2 (2020))でした。」
- Q ――たった数か月でいろいろなことが起きましたよね。
- A「たくさんの不確かな情報に振り回されて、結局何を信じていいのかわからないような不安な日々の中で、自分も含め誰もが基本に還って自分自身を見つめ直す作業が必要な時期だったと思います。時には、それまで築いてきた価値観を捨てなくてはいけない事もあったかもしれません。ニューノーマルと呼ばれるこの新時代を生きるわたし達に求められるのは、ただ流れてくる時代に無意識に乗りこむのではなく、自分自身で行き先を決めて自分の意思で向かう事なのだと強く感じています。いま目の前にある世界を逆立ちして見るように、ぼくら一人一人がそれぞれの景色や真実の切り取り方を持つことは、これから先の未来を生きる鍵になる気がしています。逆さのスマイルには、そんなテーマやメッセージを込めています。」
- Q ――世界中が大変なことになってわたし自身も戸惑うことが多々ありますが、”世界を逆立ちして見る”…とても深いメッセージだと思います。表現方法にもこだわりがありますよね?
- A 「ここ数年作り続けている作品シリーズは、一見ペインティングの上に線を引いたように見えますが、実際は本来の下地を丁寧に残して線を作り出しています。近年ぼくたちは様々なニュースが次々に溢れ出ては上書きされていく忙しい時代に生きています。それらを掴んでは離す慌ただしい生活の中で、ふと我に帰ると1つ1つの物事に対して丁寧に向き合えていない自分に気づきました。本来の色や質感を残すこの手法を通じて、1つの情報や写真、出会いなどが本来持つ意味を再度掘り起こし、今も変わらずそこに在るものを今度こそ自分のものにしようとする僕自身が現れているようにも思います。」
- Q――映像作品も撮っていただきましたよね。アーティストとしてのマサヤさんやニューヨークの現在を見ることができて、思わず「使わせてほしい!」と言ってしまいました(笑)
- A「そうそう! 最初は自分の記録用に作っていたのですが、佐藤さんからそんな言葉をいただいたので、それ用に作り変えましたよ(笑) 制作風景だけじゃなく、ぼくが暮らしている街の景色や制作スタジオの様子も入れてみました。きっとこの風景もこの瞬間でしか見られないものです。『希望はしっかりと生きている』そんな空気感が伝われば嬉しいです。」
- Q ――最後になりましたが、マサヤさんからメッセージをいただけますか。
- A 「タイミングがタイミングだったので二転三転いろいろありましたが、素晴らしいチームとこだわりを持ってプロジェクトを終えられてホッとしています。誰もが体験したことのない状況ですが、そんな中からも沢山の希望や喜びは見つけることができると信じています。同じ時代を共に生きるみんなが少しでも笑顔ある生活が送れることを願っています。」
ARTist COLLAB ITEM
Masaya Nakayama×Paul Stuart advance
スマイルマークをモチーフにしたアート作品をプリントしたロングTシャツ、フーディー、トートバッグ、携帯ケースの4アイテムをリリースします。このコラボレーションのためにアーティストによるオリジナルタグがつくプレミアム仕様です。
Model:女性モデル163㎝ Mサイズ、男性モデル180㎝ Lサイズ
Model:女性モデル163㎝ Lサイズ、男性モデル180㎝ Lサイズ